「銀河大戦の巫女たち」 イラスト 平井久司 ISBN4-07-310232-X 定価610円(税込) 361ページ、204g |
ストーカーとの銀河大戦も佳境を迎える第五巻。
4巻でかなりのかずの新キャラを出してましたが、なんつーか、この巻でもまだ新キャラが出てきてます。
惑星連合安全保障機構のケイン長官。こいつ、銀河でいちばん偉い人。
“氷の人形”の異名を持つ長官専属秘書のミス・セレン。こいつ、長官よりも偉い人(笑)。
あと語るべきは、やっぱりティン・ツー様でしょう。4巻のラストで闇の魂(ダークソウル)を受けついで、自閉症状態から復活したこの娘。
私が以前から書きたかったタイプのキャラ。
やっぱ悪の美少女はサイコーっす。
倣岸で気高く、なおかつそれに見合う実力も持っている。だがしかし、時折かわいらしいところも見せたりなんかしちゃったりなんかして。
あとは《ヒーロー》の典型ともいうべきキャプテン・カーティス。
アメリカ型《ヒーロー》というのでしょうか。年齢は三十代のはじめくらいでぇ、フットボールのフォワードでも務まりそうな肉体でぇ、知性と勇気と決断力に富んでいて……みたいな。体重は最低100キロはないとね。あと博士号のひとつも持ってないとね。
バットマンなんかが、このタイプかな。
もちろんあの人、南極の信号灯で呼びだされるお方なんかも、このタイプですね。
実際のところ、こういう《ヒーロー》が銀河には多いです。半数くらいはそんな感じ。
《ヒーロー》養成校ってのが、銀河にいくつもあるのです。卒業生の千人にひとりとか、そのくらいのほんの少数が《ヒーロー》としての適性を示してその道に進み、《ヒーロー》になれなかった人は、惑星連合の各部門について、鍛え上げた能力を銀河のために役立てているという。
そこを出てくると、どうしたってそういう体型になって、知性と勇気と決断力に満ち溢れるようになってしまうのですね。じつはケイン長官も、そこの出身者。
もうひとりの《ヒーロー》の実例としては、カーサちゃんかな。ジャングル・カーサ。
《ヒーロー》の実例も3人ほど出てくると、最後のひとりはバリエーションを広げるって意味で、キワモノのタイプになります。まあこういう《ヒーロー》もありってことで。
なんなんな〜なんなんな〜♪
彼女きっと、宇宙船は木でできていると思っているに違いない。“すぺーすちたにうむ”って名前の木は、とっても堅いものなのだ。どこに生えているか知らないけど。
《ダーク・ヒーロー》側の新キャラは、ジャックとその兄貴。
血に餓えた獣で殺人鬼。でもなんか作品中じゃいい人になっちゃってるなぁ。なんか私は、完璧な鬼畜キャラって苦手みたいっす。どんなキャラでも、どこかしら好きになれるところというか、カッコいいところがないとだめみたいで、登場させられない。
んでもってジャックの兄貴分の《ダーク・ヒーロー》、バルナスのほうは、戦いの中に生き様を見つけるタイプ。彼についてはあまり書きこめなかったなぁ。ディーゼルあたりと、昔なんかあったようで……。
このキャラを出すときに、昔書いた「ヴァルツアーの紋章」を思いだしてしまった。そこに出てくる魔獣っていうのが、ちょうどこんな感じで戦いを求めていたなぁって。
あと、そうそう。
新キャラじゃないですが、マツシバ・インダストリーの姫君、ラセリアを再登場させられたのが作者としては楽しかった。本気なのか遊んでいるのかわからない彼女の言動、やっぱ、いいわぁ。
彼女については、作者が何もしなくても、登場させるだけで動いてくれるのだな。勝手に自由にのびのびと。
私の小説の書き方は、なんか映画の監督でもやってるみたいな感じ。
書こうとするシーンの、セット(場所)とかシチュエーションとかを決めたら、そこにキャラクターたちに出てきてもらう。あとは「シーン○○、スタート!」とかカチンコを鳴らして、すべてキャラにまかせてしまう。
台詞なんかは、キャラが勝手にしゃべったものを書きとめるって感じ。
そのシーンにおける大まかな展開ってのはプロット段階で決めてあるけども、キャラクターたちがアドリブで違う方向に持っていってしまうこともある。そういうときは、シナリオのほうを変更してしまう。
キャラクターのアドリブで話の骨組みまで変わることはまれだけど、それぞれのシーンの雰囲気とか、けっこう変わってしまうもの。っていうか、当初のプロットをトレースしただけじゃ、つまらなくて退屈なもので終わってしまう。キャラが変えてくれるようでなけりゃ面白くならない。