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    あとがきにかえて―― 「キャラクター座談会」


「ついに来たか。この時が……。この作者、いつかやるんじゃねーかなー、と、そう
思っていたんだよ俺は。やるっつーか、やっちまうっつーか」
「キャラが出てきてしゃべるっていうの、よくあるもんね。……ありがち的?」
「えー、いまないですよー、そんなのー。十年は古いですよー、江利香ちゃん」
「ええっ? だめっ? またうちだけっ? うちってローカルっ?」
「なに言ってんのか、わかんねーよ」
「いいんじゃないっすか? ところでポテチはどこっすか? 座談会ってのに、食料
も液もないんすかね?」
「しかし……。なんだって俺らがこんなことしなけりゃならねーんだ? ああもう、
かったりー。合宿もまだ途中だってーのに。だいたいそこに掛かってる『あとがきに
かえて』っての、ありゃ、なんだよ?」
「さあ。なんなんだろ」
「だからポテチはどこっすか?」
「おい江利香。ちょっと作者のとこ行って、なに考えてるのか、頭のなか覗いてこい
よ」
「ああ。あのね。それなんだけどね。あとがきって、とっても苦手だから、編集さん
に泣きついてキャラ座談会で済ませてもらったんだって。キャラクター座談会だった
ら、あたしたちが喋ったこと、書き取っていけばいいだけだから、楽なんだって」
「すげぇ横着」
「あとがきはノーギャラだから書きたくねぇ――とかも言ってた」
「なんたる怠慢。ああーもーかったりー。俺たちもサボろうサボろう。サボっちま
おー」
「だめでしょ。真面目にやらなきゃ。合宿のほうだって、サボってるんだし……」
「そういやぜんぜん特訓してねーよな。あと……、アレってどうなってるんだ?」
「あれって……?」
「ほれ、刺客とかなんとか」
「そういえば。そうだよね。ぱったりと襲ってこなくなっちゃって。おかげで宿題、
はかどったけど」
「うわ馬鹿っ。七月中に宿題やるなんて正気かよ、お前?」
「そういう人は、最後の何日かで苦労するんですぅー。頼んできたって写させてあげ
ませんよーだっ」
「そうして冬が来たとき、キリギリスさんは死んで、アリさんは生き残るのでありま
した。チーン」
「いいか。ひとこと言わせてもらうぞ……。虫ゆうなー!」
「ちがうよー。達也さんはキリギリスでもアリでもなくって、どっちかっていえば、
やっぱり、ゴ……」
「言うなっつーの!」
「でも刺客の人のほうも、あれなのかな。夏休み中なのかな?」
「あの国の連中は、会社人でも夏休み一ヶ月も取るっていうしなぁ」
「夏休み長いのは、ヨーロッパのほうでしょ。フランスとかドイツだとか。あの国っ
て、けっこう働き者みたいだけど。年休だって日本と同じぐらいだし」
「へー」
「へー、じゃない。みんな授業でやるのにー。タツヤ聞いてないから」
「ま……。まあ、あれだな。そんなことより、あれだな。いまはいかに有意義に合宿
をするかってことのほうが大事だよな。いま合宿中なわけだし」
「達也よ。遊ぶのは合宿初日だけだぞ」
「うわっ。いたのか大三郎」
「うむ。ずっとな」
「しゃべらねーから、いねぇと思った」
「じつはここだけの話なのだが……。じつは明日からの合宿には、大先生の方々がい
らっしゃるそうだぞ」
「大先生……? 方々……って、一人じゃないのか? いっぱい来るのか?」
「うむ」
「メンドウくせぇ。じつにウザッテー」
「そのセンセー、強いっすか?」
「強いらしいな。その強さゆえ、数万年ほど封印されていたそうだ。あとはその宿敵
の方々であるとか」
「なんだなんだなんだ。今回は楽しい合宿だったんじゃないのか」
「うむ。だから合宿だ。楽しい特訓なわけだ」
「いやだ。断固として拒否する。俺は明るく楽しい夏休みライフをエンジョイするん
だ。 なぁ江利香?」
「えっ? えっ? なんであたしに振るかなー。……まあ、わたしも、汗くさいのは、
あんまりー。戦闘系じゃないしー。単なるエスパー少女だしぃ。ねぇカメ娘ちゃ
ん?」
「って、わたしに振るしー。でもわたし見学するから、どっちでもいいよー」
「だが特訓なのだ。そう決まっているのだ。もう原稿は上がっているそうだ」
「げー」
                              (終)
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